絵画は解剖学から始まる。

イタリアではヌードデッサンが全ての絵画の基礎となる。

私が学んだAccademia di Belle Arti (国立美術学院)では、たとえ人物画を描かない人、そして具象画でなくて現代アート・抽象画を制作する人でも最初は実技の授業でヌードデッサンを繰り返し行わせる。

どんなに優秀でもすでに経験があっても関係ない。

それはあたかもスポーツ選手が基礎トレーニングをするようなものなのだ。ヌードデッサンが上手く描けないものは何をさせてもそれが作品に拙く反映されるという。

もちろん色々な考え方があると思う。だがイタリアのアカデミーな美術教育とはそういうもので、それがアカデミズムと批判される所以でもあるのだ。



そして更に重要な点はそれを「解剖学」という理論で裏付けることである。

解剖学の授業はフィレンツェの美術学院ではかなりの比重をもっている。

まず1学年目は骨のつき方、そして名称、2学年目は骨の上に付く筋肉、名称、内臓等を勉強する。

3学年以降は表情学というのがあった。人間の顔の表情がどういう筋肉の動きで表されるかというものだ。

私は能面の研究をしてみた。

そして皆様はここで気づかれたと思う。そう、解剖学はルネサンス文化から来ている。

万能の天才と言われたあのレオナルド ダ ヴィンチは人間の内部に大変興味があったようで多くののデッサンを残している。

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そしてこれをそのまま再現したのがイタリアで最もアカデミックで権威があるとされる国立美術学院の授業なのだ。

ルネサンス文化の根幹にはプラトンなどに代表されるギリシャ哲学への回帰がある。そしてその理論は後の西洋文化に大きな影響を与えたのである。

芸術創造も理論構築から始まるというところが日本、東洋の芸術との大きな違いだろう。

多彩な才能があったレオナルドは楽器演奏や作曲にも長けていた。

これはあまり傑作だとは思えないが紹介しておきます。